2015年6月26日金曜日

20150628

直島に来て20日あまりが過ぎようとしているけれど、まだ作品はひとつも描けない。

引き受けた宿の仕事やネコの世話や日常のことを懸命にやればそれだけで一日はすぐに終わってしまうし、先週、今週はその代りみたいにいろんな場所からたくさん人が訪ねてきて、なんとなくバタバタしているから、という物理的な理由もあるけれど、描けないいちばんの理由は、心の中に表現したいことが実のところまだ何もなかったからだ、というのもわかっている。


直島に来る前には絵が描きたくてたまらなくなって、画材をみんなスーツケースにつめて送ったというのに。
実際にキャンバスを広げて色を選ぼうとしても、どれも光らない。

私の心は今、無色透明。
そこには、なんの色もついていない。



このところなぜか、過去の話をよくする。

それは確かに私がほんの少し前に経験したはずの出来事なのに、どこかもう他人事みたいで、なんの感情も湧き上がらないいつかの物語。


今になって考えてみれば、どのみち結果は「壊れる」以外になかったんだろう。

それでもあのとき私が現実を直視することから逃げる方を最終的に選んだのは、結局自己防衛本能だったように思う。


求めていた想いと与えられていた想いの種類が違うことなんて、最初からわかっていた。

だけどそれを認めてしまったら、たぶん私はもっと卑屈になって、悲しくて、もっと苦しんだ。
誰かのせいにして、誰にも入って来られない悲しみの中に自分の身を置いてしまうことで、私はその受け入れがたい事実から逃げたんだと思う。


その選択自体は悔やんでいないけれど、たったひとつだけ、後悔していることがある。


わかったフリなんてしないで、あのときあの人が本当はどんな状態だったのか、どんなことを考えていたのか、ちゃんと教えてもらえばよかった。



一度は確かに得たはずのいちばん大切な感覚を、私はまた失ってしまったから、たぶん私が誰かを見つけることはもうできないけど。


ここにいることを自分以外の誰かにちゃんと確かめてもらいたいと望むことは、そんなに分不相応なことなんだろうか。













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