2015年4月22日水曜日

20150422

金曜から数日、お昼間は晴れ間こそあまり出ないものの穏やかなのに、夜になると猛烈な暴風雨と雷鳴までとどろいていた。

そして月曜日には与那国島を震源とした大きな地震があって、島がグラグラ揺れた。
津波警報も出たけれど、幸い津波が来ることはなく、海はまた穏やかなまま。
沖縄は本当に、龍蛇神とひとつになっている土地なのだと思う。

警報が解除された後で、海に入った。
鳩間島の海は美しいだけじゃなくて、とても優しくて心地がいい。
干潮のときはイソギンチャクの群れがあるところまでもずっと浅瀬だから、潜らなくても透明な水面越しにいろとりどりの魚たちが見える。

翌日からいよいよ絵を描くことになっていたから、私にとっては身を清める意味もあったけど、海に抱かれればそんなことはすぐに忘れてしまう。


嵐とともに、夜になると滞在しているお部屋に白いヤモリちゃんが現れるようになった。

島にはヤモリがたくさんいる。
鳴き声がどことなく天国に行った小鳥の紅ちゃんに似ているから、聞こえるとなんとなく嬉しいような安心したような気持になるのだけれど、この子は鳴き声だけでなく気配もどこかしら、小鳥ちゃんに似ている。

最初はおずおずと姿を見せたり隠したりしていたのが、月曜日の夜にはどういうわけか大興奮で一晩中部屋の壁をペタペタグルグル歩き回っていて、夜中にふと目が覚めたら私の顔の上にいた。

これにはさすがにびっくりした。
それほど私は気配をなくしていたのか。
もしくは、小鳥ちゃんが白ヤモリちゃんに憑依したのか。
どちらにしても、仲がいい。

そして翌日は、浜下り、という年に一度の女の節句があった。
昔の伝承に基づいているこの節句では、女の人はこの日には必ず潮の引いた時間に海に行って、七つの水たまりを飛び越えるか、もしくは水につかると良いのだという。



朝にはおばあが縁起ものだから、と手作りの節句のお餅をおすそわけしてくれた。

よもぎ餅と豆餅とトリ餅。
自然の色が、なんとも言えずきれい。

おばあと一緒に海に行くつもりが、午前中から下塗り作業を始めてしまったから、15時すぎの干潮の前にひと段落ついて、海へ行くことにした。

近くの浜に寄って水につかってから、水たまりのありそうな浜を探しに島の西側にある浜へ向かう。

いつもと違う道を通ってみよう、と野原の中をグングン歩いて行ったら、あろうことか道を途中で間違えて、見たこともない草原の真ん中に出てしまった。

花が咲き乱れ、白い大きな鳥たちが群れになって飛ぶその場所は、あとで聞いたらかつては一面の畑だったのが今は手つかずになっているのだとか。

道なき道に不安を覚えながらも、鳩間島は小さいから歩いていれば必ずどこかに出る、と歌を歌いながら歩いて行くと、見たことのある道に出た。

ひょっとして、とさらに海の方向へ進んで行くと、たどり着いた浜は初日に偶然たどり着いた、いちばん好きな浜。

海では遠くの方で貝獲りをしている人がひとり。
よく見たら、おばあ。
思わず笑ってしまった。

その浜で水たまりを七つ跳び越えて、帰りは浜から縦の道を延々と歩いていったら、なんとお宿の脇の道。

初日ぐるっと回って帰ってきたからそのあと行きたくても場所がいまいちわからなかったのが、まさか一本道っだったとは。
途中には鳩間島でいちばん大きな御嶽もある。
もちろん中には入れないけど、脇を通るだけで背筋が伸びる。


節句の夜には海のものを食べるのよ、とおばあが採りたての貝を出してくれ、おじいは三線で節句の唄を歌ってくれた。

三線を置いた後、酔ったおじいが唐突に「キヨノ、ずっとここにおりなさい。あんたはいい子だ」と言うのでびっくりして、涙が出てきた。

恋愛にも結婚にも向かなくても、神さまはどうやら家族を作る才能だけは人より多くくれたのかもしれない。

またひとつ、帰る場所が増えた。









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