2015年4月18日土曜日

20150419




水曜日に鳩間島にやってきて、今日で4日目。
どんなにゆっくり歩いても2時間あれば一周できてしまう小さな島には、とてつもなく美しいエメラルドグリーンの海と青い空と強い風がある。

島民は50人ほど、まだハイシーズンじゃないこともあって、島に点在するいろんな浜はほとんどプライベートビーチみたいに、誰もいない。

港に降りたった瞬間から、私はこの島が、とても好き。


私はここでお散歩をしたり、スコールに降られたり、野生のヤギを観察したり、こっちで知り合った人たちとおしゃべりしたりしながら、文章を書いている。

鳩間島を選んだのはただ、ここに行こう、といういつもの感覚だけで、何か目的があったわけでも何かを狙ってきたわけでもなかったけど、旅先にはなぜかいつもおもしろい出来事が待っている。


今回泊まっているお宿は、おじいとおばあがふたりでゆっくりやっているところ。
港からいちばん近いところにあって、部屋からはいつも海が見える。

素泊まりだから食事は自炊、ということで食材をたくさん買ってきたけれど、来てみたら朝も晩もおばあが美味しいご飯を作ってくれて、一緒に食べる。
このご飯がまたとても温かくて美味しくて、私はぐんぐん優しい気持ちになる。

おじいはいろんな話をしてくれる。
びっくりしたのは、鳩間島は久高島や宮古の大神島と同様に、神の島と呼ばれる場所だったこと。
今回の旅ではあえて久高島も大神島も選択肢に入れず、ただのんびりしようと思って旅に出てきたのだけれど、結局そういうエネルギーの強い場所に惹かれてしまうんだなぁ、と笑ってしまった。

鳩間島に毒ハブがいないのも、神様の力で近づくことができなかったからだ、という伝承が残っているのだとか。
おじいもおばあも島の神事に関わるおうちの生まれだとかで、ふたりの生活の中には(そしてたぶん島に住む人はみんな)自然と、神さまへの畏敬と感謝とが溢れている。
私も、ご飯をいただくときの作法を教えてもらって、おばあのご飯をいただく時には毎日それを実践するようになった。

そして昨日、私の泊まっているお宿の向かいで茶屋と宿をやっている同い年のオーナーさんがほとんど酩酊しながらおじいの三線の音を聞きつけて来て、それをきっかけに彼らのゆんたくに少しだけ顔を出したのだけれど、話の流れで急遽、そのお店の裏手の外壁一面に絵を描くことになってしまった。

ゴールデンウィークにはたくさん人が来るからそれまでに仕上げてほしい、ということなので、とりあえずこっちでの滞在を少し延長して、ある程度の道具を石垣島で買ってから作業に入ることになる。

ひとりでなんとなく何かにまきこまれてどうにかするパターンには慣れているものの、今回はなぜか、ちょっとだけ心細い。
こんなふうに感じることはあまりないから、少し戸惑っている。
昨日の夜、あれこれ考えていたら眠れなくなって、こんな時にあの人がいてくれたらなぁ、と久しぶりに誰かの助けが欲しくなった。
だけど、ひとりでやるべきことならそうなるだろうし、助っ人が本当に必要なら、何かしらの形で現れてくれるだろう。

かなり大きな面を一週間くらいで仕上げないとならないし、お天気がどうなるかもわからないけど、すごく好きな場所に作品を残せるのは嬉しいことだから、がんばってみようと思う。

今日は鳩間島に新しくできた野外ステージの落成式典が朝から開かれている。
もともと音楽の文化が盛んだったこの島では今も音楽は人の和をつなぐものとしてとても大切にされているのだけれど、この式典ではお祝いに沖縄のすべての島々からひとりずつ代表の演奏家がやってきて、それぞれの島に伝わる伝統民謡を披露している。
こんな機会はめったにあることじゃないみたいだから、本当に運がいい。

沖縄は土地も人も、おおらかに見えて厳しい。
ここまでは来てもいいけど、ここから先はダメだよっていうラインがきっちり引かれている感じ。

まぁそれは沖縄に限ったことじゃないし、そのラインを感じるのは私が故郷を持たない、ごった煮の新しい街で生きてきた人間だからなのかな。
そして、きっと私にも何かしらのラインはあって、それがあるからこそ、どこにでも行くことができるし、どこにも属さずにいられるのかもしれない。

天気予報では雨のはずだった今日は、朝からずっとやわらかな陽が出ていて、小さな島のお祭りは今もにぎやかに続いている。

私はおばあと一緒に帰ってきて、今はまた海の見える部屋で、のんびりとは程遠く、狂ってしまったスケジュールの調整や、同時進行しているいくつかの仕事の雑事を、通信速度の遅いインターネットに翻弄されながらこなしている。

明日は材料の一部をとりあえず選びに石垣島へ日帰りする予定。
船がちゃんと出てくれるといいのだけれど。











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