2014年11月7日金曜日
20141106
朝、サクラメントリバーヘッドウォーターで二日分のお水を汲んで、シャスタにさよなら。
またいつでも来られるとわかっていても、やっぱり淋しい。
一路、400kmの道のりを、今度は南へ向かう。
アメリカにいると、どうしてこの国はなんでもかんでもこんなに大きいんだろう、とつくづく不思議な気持ちになる。
同じ人間だけど、ふだん目にする景色の大きさがあまりにも違うから、身体のサイズも食べ物もコップも落ちているドングリでさえもビッグサイズになるんだろうか。
15時過ぎに、今日の宿泊地であるCalistogaのIndian Springsに到着。
火山灰100%のマッドスパ(泥風呂)と地下水をくみ上げたミネラル&ソルトのお風呂に入ってみたくて寄ることにしたのだけど、来てみたら予想以上にアメリカンセレブたちの保養地みたいな場所。
日中はまだ温かくて、水着とビーサンにローブをはおって敷地内をうろうろできる。
どうがんばってもセレブ感を漂わせることのできないちんちくりん日本人の私たちだけど、貧富の差を感じさせるロッジの階段やあわや裾をひきずるXLのローブやプールサイド沿いに腕でカニ歩きしないと立ち行かないプールの深さにもめげずにプールやスパを満喫。
プールは心地よさよりもそこに来る人の気の重さでかえって調子が悪くなったけど、マッドスパとミネラル&ソルトバスは、空間も時間の配分もぜんぶが素晴らしかった。
中でも、素っ裸の人々を手際よくケアしてくれるふたりの女性がとても明るく優しい人たちで、たぶん彼女たちからすると子どもみたいに見えるこのちんちくりん2人組にも丁寧に親切に、何よりも快適に楽しめるようくまなく配慮してくれたおかげで、シャスタでの寒さや長時間ドライブで凝り固まっていた身体や顔だけじゃなく心もすっかりほぐれて笑顔。
最近旅をするたびに毎回思うことだけど、結局どこにいてもいちばん肝心なのは、そこにいる人たちの発する「気」なんだ。
シャスタをとても好きだと思うのは、あの街に住んでいる人たちややってくる人たちがおおかた親切で穏やかで、急いだりイライラしたりしていないというところもやっぱりすごく大きいんだな。
たとえば今夜入ったレストランはレビューの評判はすごく良かったし味も上品だったけど、ナパの近くに来たのにワインを飲まない、食事も小鳥の餌ほどしかオーダーしないけれどもチップだけは律儀に払う日本人に対してニコリともしない目も合わせない店員さんが持ってきてくれたご飯はやっぱり、あんまり美味しくない。
私は好きなものも多いけど、人間としての器がたいして大きいわけじゃないから、嫌いなものがいっぱいある。
こういう小さな差別に対して嫌悪感を抱くのは、差別されることにたいする劣等感や優越感が心の中にあるから気になるということでもあるように、何かを嫌うというのは結局自分の中になんらかのブロックがあるだけで実はとても愚かなことなのだけど、時々がっかりすることは、本当はとても大切にしておかなければならないことを当たり前にしてしまわないための感激の種だとこじつけてしまえば、すぐに忘れてしまう程度の小さながっかりがいっぱいあるのもひいてみればそう悪くはない。
実際、ご飯を食べた帰り道にみた満月はダイヤモンドみたいにキレイで、思ったよりも冷え込んで震えながら帰った部屋はとても暖かくて快適で、顔も身体もツルツルのホカホカでパリッと糊の利いたシーツにくるまって眠れることがしあわせで、さっきのご飯もなんだかんだ美味しかったよね、と記憶をすりかえられてしまう。
そんなもんだ。
それにしても、私は結局のところ、ヒッチハイクと野宿でシャスタへの旅を乗り切るヒッピーにも、保養地でとっても高価なワインをどんどん開けて優雅なディナーを楽しむセレブにもなることなく、ちょこっとハードだったりちょこっと優雅だったりしながらやたらとたくさん旅をする庶民として今回の人生を終えるんだろうな、なんてどうでもいいことを書いている間に、隣で友だちは布団もかけずに眠っている。
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