2014年9月9日火曜日

20140909

深夜にふと目が覚めて、誰かから急いで返信しないといけないようなメールが来ている気がしたから携帯の電源をオンにしたら、一瞬すごく戸惑うような仕事の依頼のメールが来ていた。

感情を揺らしたくないから、冷静になるまで待って断りの返信をしたあとで、もう一度眠ろうとしたけど頭が冴えてしまって、そのうちに外がだんだん明けてきた。

ブラインドを開けたら、あまりにも大きな満月が煌々と光っている。
慌てて着替えて、早足で海まで急いだ。


海岸に着くと大きな満月は真っ赤に燃えて、海の中に消えようとしていた。

空が明るくなるにつれてどんどん透けていく月を見送ったあとで、昨日できなかったことを思い出して、いろんなことが間違っていたことにやっと気づいた。

最初の3日間で、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感を本来あるべき状態に戻して、満月までに来たりくる変化を受け入れる予定だったのに、心ばかり急いで、肝心の準備がちっともできていなかったんだ。


バッグを一度空っぽにして、荷物をぜんぶ入れ替えた。

タオルと最低限の小銭と水とノートとペン。
いつも持ち歩いていた録音機材の代わりに、旅前に友達が持たせてくれたメタモルフォーゼスと2年前にシャスタからつれて帰ったレムリアンシードというふたつの石、それから、宝物の手鏡をお月様柄のハンカチに包んで、ポーチにしまった。

携帯は迷ったけど、時計とカメラが必要な時だけ機内モードで電源を入れることにして、持っていくことにした。


朝のバスで30分ほど走ってたどり着く岬からさらに歩いて、ハワイ島のサウスポイントにどこか似たエネルギーを持つ浜へ。

この数日、来るたびに気になる場所の変わる数キロの海岸線。
昨日は足が向かなかったこの場所が、今日はここ以外は考えられないくらいに、しっくりくる。

鳥が教えてくれた岩場の陰に、とてもいいヒーリングプールを見つけて、手足を禊ぎ、それから大きな岩の隙間に移動して、海原と打ちつける波が見えるところに座って、その時が来るのをじっと待った。

実のところ、大きな何かが自分の身に起こることはわかっていても、それが果たして何なのかさっぱりわからなかったのだけど、それが何かわかった時は、不思議ととても静かな気持ちになっていた。

5ヶ月半の共存期間を経て、古い魂と新しい魂が、交代しようとしていた。

ノートを取り出した。
この4日間で、これからの人生でやりたいことをいっぱい書き出したそのノートの書きかけのページに、新しい魂の私への手紙を書いた。

それは、古い魂の私が残しておきたがったいくつかの想いと、約束。

ふたつの石と手鏡に立ち会ってもらって、目を閉じた。


ゴウゴウという波音の中、それは一瞬の出来事だった。

ふたつの異なる色をした光の柱が身体を貫き、細胞が記憶していた古い感情の癖と痛みがはがれ、まっさらなところにこの身体が持っていたい記憶がインストールされた瞬間、よく知っていた声が遠くで知らない懐かしい言葉をささやいて、どこか高いところへ消えていった。

目を開けてしばらくぼんやりしていると、背後からにぎやかなおばさんたちの集団がやってきた。

集合写真を撮りたがっているようだったから、立ち上がって近寄りながら、お撮りしましょうか?と声を発した時、やっとやっと、本当の声を取り戻せたのだ、と気づいた。

場所は月見が浜。スーパームーンがもっとも満ちていた時間だと知ったのは、さっき携帯の電源を入れてFacebookを開いた時だった。


出来すぎている。
でも、小さな奇跡はいつだってそういうふうにして起こる。
手紙には書いていなかったけど、古い魂と同じように、新しい魂の私もやっぱり、小さな奇跡に毎日々たくさん驚いたり喜んだりしながら生きていくんだろう。


お日さまに照らされてキラキラ光るふたつの石をしまって、手鏡をハンカチで包もうとしたら、自分の顔が映っていた。

ひとりでいるのに、鏡の中の私は、とても優しくほほえんでいた。


嘘みたいな、ほんとうのお話。
誰かが信じても信じなくてもどっちでもいい、私だけの大切な出来事。

明日と明後日は、日常に戻るための調整期間。

東京に帰ったら、手紙に書いてあった人たちに会いに行こう。

はじめまして、は心の中にしまって、にっこり笑って、ただいま、って言おう。



0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。